チャーリー
- etemon666
- 2019年1月27日
- 読了時間: 3分
正直に言うと、おれは前科持ちです。
そう、タイーホされたことがあるのです。
今日はその時のことをお話しします。
これはおれが18歳の頃です。
当時おれは新中野のスタジオでアルバイトしてました。
その日のおれは早番で朝から夕方まで働いて、夜はそのままそのスタジオで練習をしていた。
練習っていってもギターじゃなくドラム。。
その日は夜中の0時くらいまでずーっとTHE HIVESの曲に合わせてドラムを叩いてました。スポーツ的な感覚で。
いい汗かいたおれは終わってから終電で当時住んでいた高円寺へと帰ったのです。
帰路の途中にセブンでからあげ棒買って食べながら帰ったのも覚えてる。
そしておれが住むアパートに着いた時、重大な事に気付いた。
「ヤッベ、店に鍵忘れた…!」
時刻はすでに深夜1時。
スタジオが閉店してスタッフが帰るのが2時。
「そうだ!スタッフに電話して鍵を店のポストにでも入れててもらおう!」
そう思ってポケットから携帯を取り出すが、奇跡的に充電が切れていた。
「ァゥチ!」
どうしよう。
とても困った。
おれはひとり玄関の前で佇みながら良い方法はないかと考える。
偶然にも窓の鍵が空いてたりしないだろうかと考えるも、以外と几帳面なおれはそんなヘマはしない。
部屋の中では猫のマチコちゃんがお腹をすかせて待っている。
当時はまだマチコも0歳だった。(今は8歳)
正直高円寺から新中野までは歩いていけば1時間くらいで着く。
いや、むしろそんなにかからない。
しかし、それはめんどくさい。
もし間に合わなかったらすっごい無駄な時間と労力になる。
残された時間は約30分。
こんな時にチャリンコでもあればいいのだが、ちょうどその少し前に盗まれている。
バイトの帰り道にコンビニに寄ったほんの2分くらいの間でパクられたのだ。
一生の不覚。
怒りの矛先はおれのチャリをパクった顔も名前も知らないヤツに向けるしかなかった。
「まじ窃チャするヤツって最低だな!死ね!ふざけんじゃねーよ!人の物パクってんじゃねえよ!くだらねえ!誘拐と一緒だ!レイプみてえなモンだ!人間やめちまえ!ほんとによ!自転車泥棒とかクソダセーから!しょうもねーんだよ!買えや!チャリくらいよ!ふざけんな!なにが自転車泥棒だよ!なにが自…!」
なんと、偶然にも目の前に鍵が付いたままの自転車があるではないか。
「………………(///ω///)」
恐らく隣人の女子大生のチャリ。
白と黄色の可愛いママチャリ。
おれは思った。
今からおれがすることは決して犯罪ではない。
ただほんの少し、ほんの2~30分のあいだ拝借するだけ。
隣の部屋の電気は消えている。
恐らく女子大生はすでに寝ているのだろう。
ならばすぐに返せばなんの問題もない。
しかし、もし仮に外出中だとして、拝借中に帰宅してきたらどうする?
……………。
いや、かまわない!
おれは先日チャリを盗まれている。
それは鍵をかけていなかったから。
盗む奴も悪いが少なからずおれにも非があった。
そうだ。
つまり鍵をかけていない女子大生にも責任がある。
そのことをよく理解しているおれが身をもって彼女に防犯の大切さを教えてあげようではないか。
そう、これは彼女のためだ。
自分のものは自分で守らなきゃいけないってことを、この身を犠牲にして教えてあげようではないか。
おれは乗った。
そしてペダルを漕いだ。
変速ギアが6段階まであるとても良いチャリだった。
おれはその窃チャで真夜中を青梅街道をカッ飛ばした。
そして捕まった。
おーわり。
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