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おやすみメルエム

  • etemon666
  • 2019年3月13日
  • 読了時間: 2分

コレはおれが小学4~5年生くらいのときの話。

当時のおれはザリガニ釣りに没頭していた。

仲の良かったK君と2人で下校の途中に田んぼに寄っていそいそとザリガニを釣り上げていた。

駄菓子屋でスルメを買い糸に括り付け、ザリガニがスルメを掴んだらゆっくりと引き上げる。

釣ったザリガニは飼ったり、戦わせたり、たまに焼いたりした。


K君はいつも、登校のときにウチまで迎えに来てくれていた。

ウチから小学校までは徒歩10~20分くらいだったと思うが、K君が迎えに来るのはいつも早かった。

なぜならおれたちは"牛乳泥棒"をしていたからだ。

牛乳泥棒とは何かご存知かな?

牛乳配達を頼んでいる家には"牛乳箱"という牛乳屋が配達した牛乳を入れるポスト的な箱がある。

牛乳牛乳うるせーな。

朝早い時間だと、まだ牛乳を取り出してない家がいくつもあるのだ。

しかも牛乳箱には鍵がないので、誰でも簡単に盗めてしまう。

おれとK君は毎朝欠かさず牛乳を盗んでいた。

一点に集中すると警戒されてしまうので、まんべんなく色んな家から盗んだ。

そしてすくすくと育った。

ある朝、いつも通り牛乳を求め早くから家を出たおれとK君。

毎日必ず1軒目にチェックする"Tさん宅"に寄った。

もちろんTさんがどんな人かは知らない。

そしていつも通り牛乳箱を開けると、中には一枚の紙切れが入っていた。

そこにはこう書かれていた。

"タダで牛乳を飲むのはやめてください"

この言葉はおれとK君の心に深く刺さった。

反省したおれとK君は、翌日から牛乳を盗む代わりに箱の中にあるお返しを入れるようにした。

それは、


































ザリガニだ。

超アホ。

 
 
 

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